【定常】dブックデー(2026年10月)

「メンヘラ」の響き 幸せと不幸せが鳴り響く濁り江

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作品情報

「規範」的進路から「逸脱」する若者たちの願望を「音楽」のなかに探る!『ハイロウズの掟  青年のかたち』(2005年)で、パンクバンドの《ブルーハーツ》から《ハイロウズ》までに表出された歌詞の転変を、青年心理学や社会心理学の概念的枠組みを駆使しながら論じ、「規範」への「対抗」音楽として、それらの楽曲が存在していたのでは?と考えた著者が、その後、たまたま歌番組でアイドルグループ《欅坂46》の「不協和音」(2017年)に出会い、このグループが表出する歌詞が「パンクロック風」であることは即座に感じ取れたのだが、歌詞中の「僕は嫌だ」という「平手友梨奈」の叫びには、不思議な感動に襲われることとなった。それは、男子青年の心情にばかり意識が向き「男性パンク」に執着していた著者の探索動機への疑問を強烈に引き起こすものだったのだ。そんな中で《アーバンギャルド》や《大森靖子》を知ることになる。それでも、新たな探索対象に、ぴったりなキーワードを見つけることは困難だった。そこで「パンク」の視点を一旦捨象し、SNSの流行語に過ぎなかった「メンヘラ」(メンタルヘルスに問題を抱えるひと)という用語を洗い直すことにしたのである。「メンヘラ」という用語が出現した頃からこの問題に関心をもっていたり、あるいは初期から《アーバンギャルド》や《大森靖子》のファンである読者には、「周回遅れ」と思われるかもしれないが、著者の授業を受講した女子学生が、彼女らに焦点をあてたいと著者に告げたことが、「メンヘラ」という語から思春期の人間精神を見つめてみようという契機となったのである。【目次】はじめに──本書の構成と狙い第一章 「少女性」とメンタル・ヘルスの歪んだ結合第二章 《アーバンギャルド》による「少女」回帰の企み第三章 《大森靖子》による新しい世界の創造第四章 「メンヘラ」系音楽文化に関する暫定的結論あとがき

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