始発まで

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全1冊

作品情報

高橋圭太は25歳。最終電車で寝過ごしてしまい、慌てて下車したため、利用したことのない無人駅でぼう然としていた。プレハブ造りの待合室があるので、そこで始発を待つことにした。待合室には先客がいた。驚くことにそこにいたのは高校時代の担任だった中沢有里だった。8歳年上の彼女はなぜか喪服姿で、ベンチに腰掛けて眠っていた。肌は陶器のように美しくなめらかで、ピンクベージュのリップが塗られた唇はしっかりと閉じられている。寝顔にもそこはかとなく気品があった。ジャケット、その下にワンピースを着ている。膝丈のワンピースからのぞく、すらりとのびた脚も黒のストッキングに包まれていた。初恋の人だったので、思わず声をかける圭太。目を覚ました彼女は圭太のことを覚えていてくれた。夫の一周忌法要の帰りだったらしい。有里と今は亡き夫にはこの待合室に淫靡な思い出があって……。

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