認知症は愛 「愛」を証明した15 の物語

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認知症の家族の言動を前に、分かってあげたいのに、分からない――徘徊、妄想、暴言。「問題行動」に隠れた認知症患者の思いを紐解く15の物語認知症の家族を抱える人にとって、最もつらいのは「分かってあげたいのに、どうしても理解できない」というもどかしさかもしれません。徘徊や妄想、暴言といった、いわゆる「問題行動」を前にしたとき、優しくしたいと思いながらもきつい言葉をかけてしまい、自分を責める――そんな経験を持つご家族も少なくないと思います。著者は、埼玉県ふじみ野市にある富家病院の理事長・院長を務める医師です。重度慢性期医療の現場で医療・看護・介護に携わりながら、認知症サポート医としても長年、多くの患者とご家族に向き合ってきました。その経験から著者が気づいたのは、認知症の患者の言動を、単なる「問題行動」として片づけてしまうことの危うさでした。徘徊や妄想、暴言のように見える行動にも、その人が不安に感じていること、守ろうとしているもの、どうしても伝えたい思いが隠れていることがあります。家族がその思いに気づき、寄り添うことで、症状がふっと和らいでいく――。著者はそんな場面を何度も目にしてきました。本書では、ものわすれ外来で実際に出会った患者とご家族の15の物語が紹介されています。そして、その一つひとつを通して浮かび上がってくるのが、本書のテーマである「認知症は愛である」という著者の言葉です。「夫が浮気をしている」という妄想に苦しみ続けた妻が、本当に怖がっていたのは裏切りではなく、たった一人で取り残されること。夫がある言葉を告げた瞬間、長く続いた妄想はピタリとやみました。物盗られ妄想がエスカレートした老母はある朝、近所に住む息子の家に「お前を殺して私も死ぬ」と包丁を握りしめ来訪。その行動の奥にあったのは、家族思いの強い責任感でした――。こうした物語を読み進めるうちに、「問題行動」と呼ばれる言動の奥に、患者本人の家族への愛が隠れていることが見えてきます。 認知症のご家族と向き合うすべての人、介護や看護に携わる専門職、そして将来の自分自身のために認知症を理解しておきたいと考えるすべての方に手にとってほしい一冊です。

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